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道尾秀介『向日葵の咲かない夏』
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道尾秀介『向日葵の咲かない夏』

道尾秀介さんが2005年に出した小説『向日葵の咲かない夏』。
この作品は、第六回本格ミステリ大賞の候補作です。(ちなみにその時の大賞は東野圭吾さん『容疑者Xの献身』です)

あらすじとしては、主人公の小学生ミチオが、欠席したクラスメイトのSくんの家を尋ねると、S君が死んでいた…でも担任の先生と再びSくんの家に行ったとき、S君の死体はそこにはなくなっており、ミチオの前に「蜘蛛」に姿を変えたS君が現れ、ことの真相を追っていく、というものです。

最近、巧妙なトリックを用いて描かれた、実写化不可能といわれていたような小説がどんどん映画化され賛否を集めています。ただこの小説は、どんな設定を用いても絶対に映画化できません。それこそが小説の醍醐味です。文字だけで表現することによって僕らの頭に描かれる世界を、いとも簡単に裏切ってくれる、こんな鮮やかな小説は他にありません。

この小説の根底には「輪廻転生」の概念と、それを受け入れられる世界、という概念があります。それを持って読み進めていったとき、最後の方で「裏切りの一文」が登場します。(あれ…?じゃあ今までのってなんだったの?)そう思ったとき、狂っていたのが外界なのか、もしくは自分自身なのかを考えさせられます。そして、気付いたときには2回目を読み始めている、そんな映画です。

道尾さんの小説は、謎をためてためて、最後の最後に一言の破壊力で概念を壊す爽快感に溢れた小説が多いです。その中でもこの『向日葵の咲かない夏』は群を抜いています。是非一度読んでみてください!